■「ポーズを決めて描く」
前回、S君が熱心に人物を描くので、今回も人物を描くことにしました。 4月は、風景を描いてから人物でしたが、 今回は、人物を描いてから周囲の状況を描いてもらいました。 前回の逆の流れですね。 ■人物から周辺へです! 前回 周辺から中心へ→ 今回 中心から周辺へ← 中心から周辺へ、周辺から中心へ、 この行きつ戻りつする時間の流れの中で、対象を見て感じることが豊富になっていきます。 そうです。 感じることが豊富であればあるほど豊かな絵画になってきます。 ■ギャップとこだわりが、感性を育む 絵を描くことは、自分と向き合っている、 次の2つの出来事との対話から生まれています。 対象 紙面 風景や人物⇔ 自分 ⇔絵画 それは、「対象」と「紙面」との対話です。 こうして、この対話が親密になれば、この関係もますます活発になってきます。 手先が器用で満足してしまうと、かえって、ただの説明図になってしまいます。それでは、せっかくの能力も、もったいことに ・・・ うまく描けなくて悩む子は、うまく描けない悩みの深さが、結果として絵の魅力になっていきます。絵を描く感性をも培われます。 S君の場合もそうでした。その結果、30分もかかって人物を描きました。 なんども、なんども描き直していました。 そうです。自分の描きたい「こだわりのイメージ」があり、格闘していたのです。 モデルの方をしっかりと見たり、絵の方をしっかりと見たりと・・・ その結果、ますますいろんなことが、感じられることになります。 あげくの果てに、動いたつもりはないのですが、モデルである僕が少しでも違った雰囲気に見えると、動いたポーズを元に戻させたりもしました。 「この指はこうじゃなくて、もっとこっちに出ていて・・」、「もっとこんな感じ」とか・・・ まだ描いている途中ですが、周囲と描かれている人の雰囲気もうまく表現できています。 彼のこだわりは、見えているイメージと、自分の絵画とのギャップのなかできびしさを増し、絵と対話する時間も長くなっていきました。30分以上もポーズを続けなければいけなかったので、たいへん疲れましたが、彼はそれだけ格闘していたわけなんですよねぇ~ ■意識の流れ方が、感じ方の違いを生む ものは、一つだから同じように見えるはずなんですが・・・ ところが、ところが・・・ 感じ方は、同じ一人の人でさえ違ってくることがあります。 同じようでも違う。 そんなことなんて・・・? あるんですよねぇ~ 今回は、それを経験してもらいました。 風景に人物を描くことと、人物から風景を描くこととの違いです。 下記の例で説明しましょう。 机の上に置かれた水入りの紙コップがあったとします。 「コップのなかに入った水を描く」のか、 「水の入ったコップを描く」のか、 という違いになります。これだけでも随分違いがあります。 同じ一つのものでも、感じられる内容に違いが出てきます。 ひろ~い机を感じてから、コップをとらえるのか?コップを見てから、ひろ~い机をとらえるのか?も同様です。 自分が、「どう感じているか?」・・・これが、S君の「こだわり」でもあったわけです。 人物へのこだわりが、こんどは周囲へのこだわりへと広がっていきました。 絵画は、感じ方、思考の流れの地図です。 空間や時間が配置された図でもあります。 意識をゆだねる拠り所としての対象空間です。 いずれにしても、いろいろな出来事として、 描く人や、見る人に迫ってきます。 絵を描くことは・・・ 簡単で便利、 どんな風であってもいいです。 気軽に口ずさむようにすぐに使えて、 いろいろな広がりとして、そこに寄り添ってきます・・・・ 思考のためのツールとして、こども達の感性を伸ばしてくれることになるでしょう!
by AmomoA
| 2012-05-21 15:17
| ✳アートクラブの記録
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