人気ブログランキング | 話題のタグを見る

5月7日(月)

■「ポーズを決めて描く」

前回、S君が熱心に人物を描くので、今回も人物を描くことにしました。

4月は、風景を描いてから人物でしたが、
今回は、人物を描いてから周囲の状況を描いてもらいました。

前回の逆の流れですね。

■人物から周辺へです!


前回 周辺から中心へ→        今回 中心から周辺へ←
5月7日(月)_a0261088_14233181.jpg
これは、5年生のK君の作品です。人物との関係と周辺の状況が繋がって感じられます。

中心から周辺へ、周辺から中心へ、
この行きつ戻りつする時間の流れの中で、対象を見て感じることが豊富になっていきます。
そうです。
感じることが豊富であればあるほど豊かな絵画になってきます。

■ギャップとこだわりが、感性を育む

5月7日(月)_a0261088_1431231.jpg絵を描くことは、自分と向き合っている、
次の2つの出来事との対話から生まれています。

   対象           紙面    
風景や人物⇔  自分  ⇔絵画

それは、「対象」と「紙面」との対話です。

こうして、この対話が親密になれば、この関係もますます活発になってきます。
手先が器用で満足してしまうと、かえって、ただの説明図になってしまいます。それでは、せっかくの能力も、もったいことに ・・・

うまく描けなくて悩む子は、うまく描けない悩みの深さが、結果として絵の魅力になっていきます。絵を描く感性をも培われます。


S君の場合もそうでした。その結果、30分もかかって人物を描きました。
なんども、なんども描き直していました。
そうです。自分の描きたい「こだわりのイメージ」があり、格闘していたのです。
モデルの方をしっかりと見たり、絵の方をしっかりと見たりと・・・
その結果、ますますいろんなことが、感じられることになります。

あげくの果てに、動いたつもりはないのですが、モデルである僕が少しでも違った雰囲気に見えると、動いたポーズを元に戻させたりもしました。
「この指はこうじゃなくて、もっとこっちに出ていて・・」、「もっとこんな感じ」とか・・・

まだ描いている途中ですが、周囲と描かれている人の雰囲気もうまく表現できています。

彼のこだわりは、見えているイメージと、自分の絵画とのギャップのなかできびしさを増し、絵と対話する時間も長くなっていきました。30分以上もポーズを続けなければいけなかったので、たいへん疲れましたが、彼はそれだけ格闘していたわけなんですよねぇ~


■意識の流れ方が、感じ方の違いを生む

ものは、一つだから同じように見えるはずなんですが・・・
ところが、ところが・・・
感じ方は、同じ一人の人でさえ違ってくることがあります。

同じようでも違う。

そんなことなんて・・・?
あるんですよねぇ~

今回は、それを経験してもらいました。
風景に人物を描くことと、人物から風景を描くこととの違いです。

下記の例で説明しましょう。

              机の上に置かれた水入りの紙コップがあったとします。
5月7日(月)_a0261088_14441864.jpg5月7日(月)_a0261088_14472844.jpg「コップのなかに入った水を描く」のか、
「水の入ったコップを描く」のか、
という違いになります。これだけでも随分違いがあります。

同じ一つのものでも、感じられる内容に違いが出てきます。
ひろ~い机を感じてから、コップをとらえるのか?コップを見てから、ひろ~い机をとらえるのか?も同様です。


自分が、「どう感じているか?」・・・これが、S君の「こだわり」でもあったわけです。
人物へのこだわりが、こんどは周囲へのこだわりへと広がっていきました。

絵画は、感じ方、思考の流れの地図です。
空間や時間が配置された図でもあります。

意識をゆだねる拠り所としての対象空間です。

いずれにしても、いろいろな出来事として、
描く人や、見る人に迫ってきます。
5月7日(月)_a0261088_1592722.jpg


絵を描くことは・・・
簡単で便利、
どんな風であってもいいです。

気軽に口ずさむようにすぐに使えて、
いろいろな広がりとして、そこに寄り添ってきます・・・・

思考のためのツールとして、こども達の感性を伸ばしてくれることになるでしょう!
by AmomoA | 2012-05-21 15:17 | ✳アートクラブの記録


<< 4月は、「見て・・・描く」 >>